ファルスの影を追い求めて…〜永遠の繭期の終わり〜


LILIUM〜少女純潔歌劇〜の永遠の繭期の終わりと題された特典DVDが好きだ。自分では繭期を終わらせられないアイドルたちのたった一部…されど駆け抜けた日々の最期を永遠の繭期の終わりと名付けてしまう儚さや危うさも相まってその特典DVDはただの裏側には思えなくなる。
舞台上ではあんなに狂気じみてる少女たちが、面白おかしくモノマネ退会しているのが微笑ましくて、舞台中にも遊んだり、走り回っている少女たちが頼もしくて……。なにより、舞台袖から見る景色は少女たちの演技は美しかった。輝いていた。そして終演後涙を流すアイドルたちに私はまた恋をする。そこにいるのは、1人の少女でも、女優でもなくただただ明日からの希望に満ち溢れたアイドルの姿だった。


その中でアイドルに戻れていない彼女を見つけた。


カーテンコールの後、現リーダーである譜久村聖さんの膝で泣き崩れ、主演の2人の最期のカーテンコールを袖から映しているときも彼女の泣く声が微かに聞こえる。それを聞くたびに想像せざるをえない。14歳の少女にファルスを演じさせてしまったことによって工藤遥さんが背負ったものの大きさ。ファルスを追い求めることによって彼女の中にできた影。成長してはいけないファルスと成長していく工藤遥さん。元々評価が高い舞台と続編であるLILIUMをつなげる唯一の人物を演じるプレッシャーもあっただろう。そしてその全てをファルスに投影し続けた苦悩。きっと彼女の全てをかけたものが終わる達成感と虚無感。


工藤遥の涙の理由をたくさん想像してしまう。しかし、そこに答えはきっとない。工藤遥さん自身もあの時の涙の理由はわからないのではないかと思う。


アイドルのエネルギー0を初めて見た。
いつだって全力のアイドルは見たことがあるが、その全力を出し切ってしまうアイドルを初めて見た。


ファルスの影は今もきっと彼女のどこかで存在している。ただあの頃と違うのは、ファルスを自分自身にしてしまったこと。エネルギー0にしなくても、工藤遥はいつだって自分の中にあるファルスを出すことができる。


もうファルスは工藤遥のもの。